2022年6月2日(木)・10日(金)・27日(月)     水際廻廊の散歩道                    横浜ベイサイドの今と昔をたどる(終了しました。)

 

桜木町駅を起点に、ベイサイド沿いの歴史的資源と水際空間を活かした新スポットを廻ります。1859(安政6)年の開港後、外国人居留地と日本人町が誕生。日本人町には、本町通り、北仲通りなど五筋の道が造られ、市街地は洲干弁天社の社地やその周辺にまで拡大。白砂青松の風光明媚だった地に、旧幕府の仏語学所やオランダなどの領事館、明治初期には灯明台役所など新政府の施設が設けられました。関東大震災後の1926(大正15)年には、本町にあった横浜生糸検査所が当地に再建されました。併せて、帝国蚕糸倉庫が造られ、この地区の象徴的な建物として残されてきました。この由緒ある地に、近年横浜新市庁舎や旧帝蚕倉庫を活かした横浜北仲ノットが建設されました。また、万国橋で結ばれる新港地区(ふ頭)は、1899(明治32)年に埋め立てを開始、1914(大正3)年に完成した、“港都横浜”の繁栄を象徴する地域です。現在、これらの歴史的資源を活かしながら、“みなとみらい”の中心地として、新旧が調和した美しい景観が形づくられています。本日は、女神像「みちびき」に見守られながら、青い空とブルーの海が競い合う水際のプロムナード散策をお楽しみください。

 《コース紹介動画》https://youtu.be/YoSq5F5o1zY

 

プロローグ

北仲橋、汽車道のすぐ傍に静かな一角がある。ここからは、今回のルートの本町、北仲、新港の3エリアの景観が広く望めます。正面、僅かに残る護岸は明治6年造。かつて、この一帯は砂嘴の鼻の先にあった約12,000坪の弁天社の境内とその隣接地にあたります。横浜開港に伴い幕府の施設が並び、後にこの敷地は明治新政府に引き継がれました。白砂青松の地を、ブラントンら外国人技術者の力を借りながら近代化し、その後は用途を代えつつ、現在のような近未来の街へと大きく変貌しました。今はこの護岸だけが、この地の変遷を見てきた唯一の証人かも知れません。

      【プロローグ1】         【護岸を遊覧する水陸両用バス】        【プロローグ2】

 

 

110形蒸気機関車
110形蒸気機関車

1.旧横浜鉄道歴史展示「旧横ギャラリー」

 20206月開館。鉄道発祥の地・横浜にちなんだ鉄道の歴史展示。鉄道記念物の110形蒸気機関車をはじめ、鉄道開業時の中等客車の再現、当時英国から輸入された双頭レール、ジオラマなどを展示中。

 

 

2.横浜市庁舎・洲干島(しゅうかんじま)遺跡

 20201月竣工、6月供用開始。市役所として8代目。地上32階(高さ約155m)、地下2階。敷地面積約4,000坪。低層・中層・高層の3層構成。低層部(13階)は市民利用・商業施設で天井が高い開放的な空間。中層部(38階)は3層吹き抜けの議場を含む議会機能、高層部(831階)が市役所機能。電気・機械室は4階と32階。3階の市民ラウンジからは、みなとみらい21地区の眺望が楽しめます。周囲には、洲干島遺跡と名付けられた開港後の遺構の一部が展示されています。

      【洲干島遺跡】           【前方に市役所を望む】        【市民ラウンジからの眺望】

 

 

北仲ブリック&ホワイト
北仲ブリック&ホワイト

3.横浜北仲ノット

 ノット(KNOT)は結び目の意。みなとみらい21と山下・関内地区の新旧横浜の結節点に位置することから名付けられました。タワー棟((マンションとホテル)と北仲ブリック&ホワイトからなる。低層部に「旧横浜生糸検査所付属生糸絹織物専用BC号倉庫」の建物を復元。ブリックは文化施設。ホワイトは商業施設でタワー棟の12階で営業。20206月開業。

・北仲地区には、1862(文久2)年オランダ領事館が設置され、前後して幕府の役宅、各国領事館が建ち並んだ。1865(慶応元)年には横浜仏蘭西語伝習所が設けられ、後に一部が東海鎮守府、1884(明治17)年以降は御用邸にと変わった。1869(明治2)年には灯明台役所が造られ、日本の灯台行政を牽引した。

      【タワー棟を望む】          【タワー棟からの眺望】         【旧生糸検査所復原】

・万国橋

陸地と新港地区(ふ頭)を結んでいます。現在の橋は2代目。1940(昭和15)年に架けられた鉄筋コンクリートアーチ橋。初代は1904(明治37)年に架設。橋の石積み護岸は、ほぼ当時のものが使用されています。橋からの眺めは、横浜を代表する夜景スポット。

                           【万国橋ガイド3景】

 

 

4.みなとみらい21新港地区

新港地区(ふ頭)は横浜港最初の人工島。明治後期~大正初期に造成。大型船13隻が着岸(岸壁の総延長約2,000m)でき、構内には鉄道を通すなど、当時最新鋭のふ頭でした。

・このふ頭の特徴は凹字型であること。13号は、赤レンガ倉庫の海側。45号は現在海上保安庁が使用。67号、1013号は、埋め立て拡張で消失。89号は、2010年まで新港客船ターミナルとして使用していた。その後、修築工事を経て現在の横浜ハンマーヘッドのふ頭と客船ターミナルの諸施設となりました。

・みなとみらい21

中央、新港、横浜駅東口(高島)の3エリアで構成。新港地区はその一部として、景観ガイドライン(建物の高さ、デザイン、色彩など)を制定。現代の街並みと、汽車道や赤レンガ倉庫などの歴史的建造物が、共存する街づくりが進行中。プロムナードによって陸と一体化しつつも、良質な水際空間(景観)を保っています。

      【水際景観】         【景観ガイドラインに沿ったナビオス】     【横浜ハンマーヘッド】

・ロープエイ(YOKOHAMA AIR CABIN

20214月開業。桜木町駅と新港ふ頭(運河パーク駅)を約5分で結ぶ。日本最初の常設都市型ロープウエイ。全長約630m、最大高さ約40m。ゴンドラ数36台。定員8人(1台)。

                                                      【YOKOHAMA AIR CABIN】

 

 

5.女神橋

 20213月開通。全長202m(橋梁部75m)、幅員6m。直線を活かしたシャープな桁(けた)と桁側面に角度を設けスレンダーに見えるデザインが特徴。横浜港の魅力を感じながら散策できます。橋名は公募(応募数265件)。名称はインターコンチネンタルホテルの最上部に設置されている、国際平和のシンボルとされる女神像「みちびき」にちなむ。横浜の発展、ここに集う人々の幸せ、世界の平和を願って選ばれました。

           【遠景】                     【近景】           【ホテル最上部の女神】

 

 

6.横浜ハンマーヘッド

 2019年開業。新港ふ頭客船ターミナル施設を中核に、食を主とした商業施設、ホテルからなる日本初の複合施設。かつての8~9号岸壁。岸壁の老朽化により耐震化と延伸、増深工事(長さ220m・水深7.5m→長さ340m・水深9.5m)を実施。9号岸壁は116千総トンの客船でも対応が可能となりました。

・ハンマーヘッドクレーンは、この場所に設置された荷役専用クレーン。2001(平成13)年までの88年間、貨物の積み降ろしに使われ、横浜港の近代化を支えました。クレーンの高さ約25m、揚力50トン。基礎構造が頑丈だったため、関東大震災時も倒壊せず。

                          【ハンマーヘッド3景】

 

 

灯台局発祥の地碑
灯台局発祥の地碑

7.明治天皇行幸阯碑(灯台局発祥の地碑)

 1955(昭和30)年造。かつて北仲地区にありました。1869(明治2)年、洋式灯台建設の行政機関(後の工部灯台寮)が設置され、指導者は英国人のリチャード・ブラントンでした。74(明治7)年312日に試験灯台が完成、6日後に両陛下が視察。以降80年間、北仲地区は灯台行政の中心でした。司馬遼太郎は「横浜散歩」の中で、灯台寮の跡地を探し歩き、「灯台局発祥の地」という木柱が立っていたと書いています。

 

お疲れさまでした。